| 判決で凶器とされたのは、焼け跡の事件現場から発見されたくり小刀一本だけでした。これを用いて、被害者4人に大小合わせて約50箇所もの傷を負わせて殺害したことにされたのです。ところが、発見されたくり小刀は、刃先が欠けていたものの刃こぼれひとつなく、刃体もまっすぐのままで、とても人も身体に多数の傷を負わせたものとは見えませんでした。
弁護団は、被害者の一部の傷は、くり小刀よりも刃体がもっと細くて長いものでなければできないとする鑑定書を提出し(「押田回答書」、「横山鑑定書」)、くり小刀だけが凶器であるとする裁判所の認定は科学的にも誤りであるということを明らかにしました。
ところが再審請求を棄却した静岡地裁は、計測例が二例しかなく体型も被害者と異なるからなどの理由だけでこれらの新鑑定を排斥したのです。弁護団は実験例を増やし、似たような体型であれば被害者との差異はない、とした法医学者の意見書を東京高裁に提出しています(「押田新回答書」)。
また、被害者4人の傷の一部には、胸骨や肋骨を切断あるいは貫通した「ものすごい力」が加わっています。弁護団は、くり小刀には骨を切断・貫通するほどの強度はなく、無理に骨を切断しようとすると、刃体が曲がったり刃体が柄から抜けたりしてしまうことを確かめた記録ビデオも、東京高裁に提出しています。
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